「短時間正社員」という言葉は聞いたことはあるけれど、パート社員とはどう違うのか?詳しくはわからないという方は多いのではないでしょうか。今回は短時間正社員についてのご紹介です。
◇まずは短時間正社員とは?
短時間正社員精度とは、「業務時間を短く設定したうえで正社員として雇用される制度」を指します。正社員は1日8時間、週5日出勤するフルタイムが一般的ですが、短時間正社員は最初から短い業務時間で無期労働契約を行う雇用形態で、近年多くの企業がこの制度を取り入れています。
育児や介護と仕事を両立したい社員、定年後も働き続けたい高齢者、キャリアアップをめざすパート社員など、さまざまな事情がありフルタイムで働けない人材に対し、フルタイム正社員よりも勤務時間や勤務日数を短くし活躍してもらうための制度です。
◇パート社員とはどう違うのか?
一番大きな違い
短時間正社員は期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に基づき雇用
パート社員は期間の定めのある契約(有期労働契約)で雇用
無期雇用か、有期雇用かというのが一番大きな違いです。
また短時間正社員の福利厚生は正社員と同じ条件であり、ボーナスも支給されます。
また、社会保険や雇用保険はどうなるの?という心配があると思いますが短期正社員やパート社員も基準を満たしていれば加入適用となります。
社会保険:通常雇用者の労働時間と比較して4分の3以上の時間で勤務している場合に社会保険が適用される
ただし、勤務先が短時間正社員制度を導入していて、下記の条件を満たしている場合は社会保険が適用されます。
・労働契約、就業規則、給与規定などに短時間正社員にかかる規定がある
・期間の定めがない(無期限)労働契約が締結されている
・時間当たりの基本給や賞与などの算定方法がフルタイム正社員と同等、かつ就労実態も規定に則している
雇用保険:
労働契約期間に関して、以下のいずれかに当てはまる
・期間の定めなく(無期限で)雇用されている
・雇用期間が31日以上である
・雇用契約に更新規定があり、31日未満の雇い止めが明示されていない
・雇用契約の更新規定はないが、すでに同じ条件で雇用された人が31日以上雇用された実績がある
または、1週間の所定労働時間が20時間以上
◇短時間正社員のメリット・デメリット
【メリット】
・優秀な人材の確保:フルタイム勤務は難しいが能力が高い人材を確保できるのがメリットです。短時間勤務であっても、正社員と同等の責任・役割が持てる人材を確保しておくことは、企業にとって大きな価値があります。
・離職防止:子育て、介護をする社員の離職を防止できるのもメリットの1つ。短時間正社員制度の活用で、能力の高い人材の離職を防げます。
・モチベーションアップ:社員として働くことで仕事への責任感や意識が変わってきます。
【デメリット】
・必要経費が増える:パート社員やアルバイトに比べて給与や保険料、福利厚生費用など、必要経費が増えることが考えられます。
・フルタイム社員への負担:例えば、時間的制限により社外への対応に限界があることも出てきます。その場合フルタイム社員への負担が増えてしまいます。
◇短時間正社員を導入するには
短時間正社員の導入にあたっては短時間勤務になった後の業務スケジュールなど、業務配分を見直し業務に支障が出ないように制度や施策案を策定しておくことが重要です。
人によって働き方やライフスタイルはさまざまであり、うまく有効活用ができれば「短時間正社員制度」の導入は会社にも社員にも大きな価値があると思います。