先週の-思考術(前編)-では、仕事はいきなり作業に入るのではなく、どのように進めたら求めている答えに辿り付けるのかという「アプローチ」「考え方」「段取り」の部分を最初に考えるというお話でした。
今週は、その後編をお届けしていきます。
■ロジックツリーを使いこなす
社会人の研修やビジネススクールでも人気の高いロジカルシンキングや問題解決の手順で学ぶのが、ロジックツリーですね。
なぜこの手法を身に付けたいと思っている人が多いのでしょうか?
考えられるのは以下の通りです。
「ロジックツリーを使いこなす理由」
①一生使える
問題解決手法の基礎的なスキルとして、一度覚えてしまえば一生使えますし、繰り返し役にも立ち、応用もできるからです。
②全体像が俯瞰できる
問題の全体像が見えるようになり、議論のポイントがどこの部分のことなのか視覚化しやすいからです。またツリーの分岐は同じ重要度ではなく、それぞれウェイトがあります。その中で最も大事な幹はどれなのかが判断できるようになると次につながります。
③捨てる能力が身につく
重要度が判断できると、不要な部分を捨てて、重要な部分だけにフォーカスして時間を使うことができます。そうなると非常に効率的かつスピーディに仕事が進められるようになりますね。
④意思決定のスピードが上がる
重要度の判断ができ、捨てることができれば、結果的に意思決定のスピードが大幅に加速します。そしてその判断も的確なものになるため、仕事の質が上がります。
ロジックツリーによる問題解決の方法は、様々な書籍も出ていますので、ビジネススクールに行かなくても学べますので、まだの方はトライしてみましょう。
エッセンスとしては、大きくて複雑な問題でも、ロジックツリーを使って小さな問題に分解することで、それぞれの論点について議論ができること。
それぞれの論点を分析することで、全体の答えを出すことができるということです。こうやって書くのは簡単ですが、身に付けるには相応の練習量と多くの経験を重ねていくことが必要だと思います。
私自身は、独力で身に付けられるほどのスキルがないので、ビジネススクールに通い、基礎から応用、実践まで指導を受けながら学びました。
「漏れなく、ダブりなく、論点を洗い出す」と言われ続け、辟易したことを今でも覚えていますが、しっかりフィードバックしてくれる指導者がいないと身に付けることは難しいかなとも思います。
会社の制度で勉強できる方は、ぜひトライしてみましょう。
おさらい:どんな課題でも手順は同じ
①まずロジックツリーで論点を整理・分解する
②それぞれの論点について数値分析をする
③項目毎に重みづけをする
④大事なものからアクションプランに落とし込む
という過程を行ってください。①から④へジャンプしないように。
またこのアクションプランを提示する際は、事実、私の解釈、アクションをきちんと区別し、「だから何?」「どうしてそうなるの?」への答えを明確にすることも忘れないようにしましょう。
(事実)(私の解釈)(推奨アクション)を見出しにつけるだけで、相手にもわかりやすく、自分の頭の中もすっきり構造化されます。有効に活用してください。
■リサーチで重要な仮説思考
リサーチをするときに一般的には、何らかの結論を出すためには網羅的に調べる方法をとります。
でも実際にこの方法だと議論が拡散したり、不必要な調査に時間を浪費したり、集めなければいけないデータが多過ぎてしまったりで、非効率な状態に陥り、一向に結論が出ないといったことになってしまいます。
こういう状態を避けるために重要なのが、「もしかしたら、こうではないか?」という大胆な仮説を立てることです。
あらかじめ仮説を立てておくことで、調べるべきポイントを絞り込めていれば、効果的なリサーチが可能となります。
そしてそのリサーチは、仮説に対しての検証を示すものです。検証してみて違う結果が出たら、素直に修正し、また新しい仮説を立てればよいのです。
もちろん仮説はひとつではなく、あらかじめいくつかの選択肢と条件に応じた結論を用意しておくと、決定までの時間が短く済み、次のアクションがスピーディになりますね。
■最後に
「考える」ということは、情報をたくさん集めて、打ち手をたくさん提示することではありません。
また分厚い報告書を作ることでもありません。その先にある「だから何なのだ」という本質を提示することができて、はじめて価値が生まれます。
みなさんが対峙するお相手は、常にこの「だから何なの?」「結果どうなの?」を求めてきます。
「情報」ではなく「本質」を提示することを心がけていきましょう。
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
次回は学ぶ仕事力〈その3〉-デスクワーク技術-です。よろしくお願いいたします。