最近、「採用についてのご相談」を何件か頂いた中で、こちらから連絡しても一切、返答がない方がいらっしゃいます。
もちろん火急の課題ではないため、具体的に話を進めにくいという場合もあるでしょう。でもこの自ら連絡をくれたのに、返信すると無反応というケースって本当に多いです。
採用担当のみなさんにとっては、応募者の無反応など日常なのかもしれません。でもこの無反応って、社内でも結構ありますよね。
「打合せ日時の返事がない」同行訪問依頼の回答がない」「申請書類の可否回答がない」など多種にわたります。社会人はコミュニケーション力が重要と言われますが、身近なところで実行できていないことに気づきます。

◆社員の退職理由は?

社員が会社を辞める理由はいろいろあります。給料が安い、仕事がきつい、成果が出ない、仕事を続ける自信がない、上司と合わない等々。
ただどのような理由であれ、最後に退職への背中を押すのは、いつも回りとのコミュニケーション不足ではないでしょうか。
ほとんどの人が仕事を続けられるのは、職場という環境が自分の居場所のひとつになっているからです。居場所は、普段のコミュニケーションで作られます。
今の仕事や会社に100%満足していなくても「今日は元気がないね」「昼ごはん一緒に食べに行こう!」と日常的に声を掛け合う関係ができていれば最後の一線に踏みとどまることができます。
一方、コミュニケーションが足りない職場では、最初は小さかった不満の種が、放置されることによって日に日に増幅していきます。
その結果、「どうせ誰も自分を気にかけていないのだから、我慢する必要はない」とやめてしまう。
回りからすると何をいじけているんだと思うかもしれませんが、大半がこのパターンです。サラリーマン時代に経験した先輩、後輩、同僚の退職や自身の転職経験からも、これは大きな要因ですね。

◆社員の定着対策とは

では、その解決策はどうするのか。
問題はこの後の対策です。コミュニケーションが足りないことが原因だとわかると多くの会社はコミュニケーションの質を高めようとします。
いきなり定期的な上司のインタビューが始まったり、組織横断的なタスクフォースチームを作って、議論する機会を増やしたりします。(これ結構やりましたね。その場は盛り上がりますけど・・・。)
たしかに質を高めることは大切です。しかしそれ以上に重要なのはコミュニケーションの量なのです。
悩みについてじっくり話を聞くより、毎日小さなことでも言葉を交わした方が社員は居心地がよくなるのです。まあ雑談をしなさいと言うわけではありませんが、色々な会社に訪問させて頂くと会話している様子が見えない職場って結構あります。
コミュニケーションは情報と感情のやり取りです。どちらも「情」の字が入りますが、情けは回数を重ねることで深くなります。旧知の友人に会いたくなるのは最初の縁がどうでも、それ以上に顔を合わせる回数を重ねたことで友情が深まったからです。
職場と社員の関係も同じです。コミュニケーションの回数が多いほど情けは深まり、離れがたくなります。
会社がまず取り組むべきなのは、コミュニケーションの量を増やす仕組みを作ることなのです。そのうえで1回ごとの質を高めていけばいい。最初に量があっての質です。
ひとりで頑張っても会社の雰囲気は変わらないかもしれませんが、行動していくことが大切です。出社時は、ぜひ積極的に声掛けしていきましょう。