株式会社矢野経済研究所は2025年1月31日、「リファラル採用・アルムナイ採用支援サービス市場に関する調査結果」を発表しました。今回発表されたのは、2024年10月~11月に民間企業834社の人事部門従事者を対象に実施した調査結果と、同研究所による市場規模調査の結果を併せたレポートです。本レポートでは、2024年度のリファラル・アルムナイ採用の市場規模が前年度比169%増の50億7,000万円に拡大していることが明らかになっています。

■「リファラル採用」・「アルムナイ採用」支援サービス市場規模大幅拡大
おさらいですが、
・リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう手法を指します。リファラル(referral)は、「推薦」や「紹介」という意味があり、人材市場が完全に売り手市場となっており、業界を問わず人手不足が叫ばれる中、注目を浴びる手法です。
・アルムナイ採用とは、一度退職した方を再度社員として迎える制度で、出戻り制度とも呼ばれます。単なる人材確保ではなく、ネットワーク強化やビジネス機会の創出に重きが置かれています。
同社はまず、リファラル採用・アルムナイ採用支援サービスの市場規模推移・予測についてまとめています。各年度の市場規模は以下の通りで、急成長を続けているようです。
2022年度:18億5,000万円
2023年度:30億円(前年比162.2%増)
2024年度見込:50億7,000万円(同169%増)
2025年度予測:82億円
2026年度予測:130億円
2027年度予測:200億円
2028年度予測:300億円

■「リファラル採用」・「アルムナイ採用」実施企業の実態と意識
さらに矢野経済研究所は、企業の人事部門担当者に対し、「リファラル採用とアルムナイ採用を実施した経験があるか」を質問しています。その結果、「リファラル採用経験あり」は50.1%、一方の「アルムナイ採用経験あり」は38.8%となりました。そのほか、「両方実施」は33.6%、「両方未実施」は44.6%だった。半数以上の企業が、リファラルやアルムナイを採用手法の一つとして実施したことがあるようです。

なお、リファラル採用・アルムナイ採用を実施している業種のトップ3は、「情報通信業」(68.2%)、「製造業」(61.5%)、「コンサルティング業」(57.8%)だったとのこと。今回の調査結果に対して、同研究所は「日本企業は“辞めた人は裏切り者”との考えからアルムナイ採用に抵抗感を示す傾向があるが、人材不足の深刻化を受け、退職者との関係維持に注力する企業が増加しているようだ」との見解を示しています。
リファラルおよびアルムナイを活用した採用が支持される背景には、「採用コストの削減」や「内定承諾率の向上」といった、企業側の採用成果向上のメリットが関係しているとみられます。また働き手にとっても、オンボーディングがスムーズに進むことで、組織に馴染みやすくなるという利点があると思われます。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP686213_R30C25A1000000/