「ピープルマネジメント」という新たなマネジメント手法が注目を集めています。人事担当者の方は最近ピープルマネジメントについて耳にすることが増えた方も多いのではないでしょうか。
今回はピープルマネジメントが注目される理由や実施するメリットについてご説明します。
■ピープルマネジメントとは?
ピープルマネジメントと、これまでのマネジメントの違いはなんでしょうか? 両者の目的はともに、「マネジメントによって、組織の成果を最大化すること」です。つまりゴールは同じですが、方法や考え方が異なるのです。
【これまでのマネジメント】
・「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を適切に管理することで、組織の成果を最大化することを目指す。
・ビジネス上の目標達成のために、いかに「成果」を上げるかということを重視する。パフォーマンス偏重型のマネジメント。
・マネージャーの役割は管理、監督、評価が中心。組織の成果に責任を負う。
【ピープルマネジメント】
・メンバーに向き合い、1人ひとりの成功にコミットすることで、組織の成果を最大化することを目指す。
・社員のエンゲージメント(※社員の会社に対する愛着心や思い入れ)やモチベーションが高い状態にあるようにサポートする。
・マネージャーの役割はメンバーと向き合い、伴走し、1人ひとりが持つ可能性を引き出すこと。
■ピープルマネジメントが注目されている理由
【転職や独立が一般的となった】
採用業務をしている当社でも転職される方と毎日連絡をとっているので、転職することは当たり前です。またフリーランスや副業など働き方も多様化しているため会社としては優秀な従業員をいかに長く自社で働いてもらうかについて真剣に取り組む必要が出てきました。
【求められることの変化】
新たな価値観をもつ世代が登場してきており、給与や福利厚生などの待遇以外にも、ワーク・ライフバランスや身につけられるスキル、仕事の意義など、人によって会社・仕事に求めていることが多様化しています。
【人材不足】
応募数が減ったな、スカウトするデータベースの数が減ったな、と私たちも日々人材不足を感じています。
多くの業界・会社では人材の争奪戦となっており、従業員側が有利な立場に置かれることが増えてきました。そのため、会社側はこれまで以上に従業員にとって魅力的な職場環境を用意する必要があります。
【テクノロジーの発展】
テクノロジーの発展によって、これまで人がおこなってきた仕事の一部が機械やAIに置きかわりました。マネジメントにおいても、従業員がもつスキルや経験などのデータを可視化できるツールが登場しています。そのため、AIやツールでは対応できない、従業員のモチベーションやエンゲージメントを重視する人ならではのマネジメントが重視され始めています。
■ピープルマネジメントのメリット
【社員とマネージャーのコミュニケーションが増える】
ピープルマネジメントは一人ひとりの成功を導くことが重要なので従来通りの評価面談ではコミュニケーションが少ないです。近年では多くの企業で1on1が導入していますが、1on1をすることで社員の成長やパフォーマンスに向き合う時間が増えます。
【マネージャーの人物像の変化】
これまでのマネジメントにおける「良いマネージャー」とは、チームのパフォーマンス(成果)を上げることのできる人物でした。一方ピープルマネジメントにおいては、人の成長やモチベーションを引き出す、優れたコーチが良いマネージャーです。伴走型のマネジメントが必要になります。
【自律性が高まる】
社員は自分自身と向き合う時間が増えるため自分自身の成功とは何か、自己に向き合って考えた上で、行動する必要が出てきます。いわゆる「指示待ち」のスタンスでいるメンバーとそうでないメンバーでは、大きな差が出てくるはずです。
■まとめ
効果的なピープルマネジメントを行うことによって社員のエンゲージメントを高めることができ、組織全体の生産性も向上します。マネジメントツールなども活用しながら、企業とその社員にマッチしたマネジメントを行いましょう。