厚生労働省は11月22日、育児・介護休業法および次世代法の一部改正に伴う政令案を、労働政策審議会に諮問しました。今回の改正により、法令違反を理由に求人不受理とする対象が拡大されるようです。
■時差出勤など、柔軟な働き方を実現させない企業は求人不受理の対象に
改正案では、2025年4月に施行される育児・介護休業法の改正に伴い、違反した事業主の求人を受理しない規定に、新たな対象項目が追加されます。これにより、企業が以下のような違反を犯し、是正が見られない場合、公表後一定期間、ハローワークや職業紹介事業者がその求人を受理しないことが可能となります。
追加される違反項目は以下の通り。
・介護の必要性を申し出た労働者への不利益取り扱いの禁止
・労働者の就業条件に関する意向確認を理由とした不利益取り扱いの禁止
・柔軟な働き方を実現するための措置(時差出勤など)の実施義務
・柔軟な働き方を申し出た労働者への不利益取り扱いの禁止
今回諮問された改正案は、労働政策審議会での議論を経て、政令として確定する見通しです。確定した場合、公布日は1が2025年1月中旬(予定)、2〜4が同年4月中旬(予定)。施行期日は1が2025年4月1日、2〜4が同年10月1日。
■育児休業を申し出た労働者への不利益など、既存の不受理規定も適用継続
現行法でも、求人不受理の対象とされている下記規定は、改正後も適用されます。
・育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇などを申し出た労働者への不利益取り扱いの禁止
・時間外労働や深夜業の制限に関連する申し出を理由とした不利益取り扱いの禁止
・職場でのハラスメント防止に関する事業主の措置義務
これらに違反し、是正勧告に従わず公表された事業主に対しては、求人申請が最大6か月間不受理となります。
■制度の背景には、求人管理を通じたコンプライアンスの強化
職業安定法では、職業紹介事業者やハローワークが全ての求人を受理する義務を負う一方で、特定の法令違反を犯した事業主からの求人を拒否できる規定を設けています。これにより、労働者の保護と健全な労働市場の形成をはかっているのです。現行では、労働基準法や最低賃金法に違反した事業主が一定期間求人申請を拒否されるほか、育児・介護休業法に基づく休業や働き方に関する違反も対象となっています。
今回の改正案は、より詳細な規定を追加し、法令違反に対する抑止力を高める目的があります。2025年の施行に向け、企業は改正内容を確認し、自社の労務管理やコンプライアンス体制を見直す必要があるでしょう。
詳細については、厚生労働省の公式ウェブサイトにて確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45125.html