リクルート(東京都千代田区)は10月23日、同社の転職支援サービス「リクルートエージェント」における2024年7〜9月期の転職時賃金変動状況を公表しました。2024年7〜9月期における「前職と比べて賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は36.1%に達し、調査開始以来(2002年4〜6月期)で過去最高値を記録しました。
■コロナ禍での賃金低下から完全に回復
同調査は「前職と比べて賃金が1割以上増加した転職者数の割合」の推移を継続的に追跡しています。新型コロナウイルス感染拡大により、2020年1〜3月期には賃金の水準が大幅に低下しました。しかし、2021年1〜3月期には概ねコロナ禍以前の水準に回復し、その後も上昇を続けています。2024年7〜9月期には過去最高値を更新しました。

※全体の推移

職種別では、IT系エンジニア、機械・電気・化学エンジニア、営業職、事務系専門職のいずれも過去最高値を記録しています。職種別の結果でも、IT系エンジニア、機械・電気・化学エンジニア、営業職、事務系専門職のいずれも過去最高値を記録しました。特に事務系専門職では、「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」が34.7%に達しています。
この職種では、2017年以降弱含みの動きが続き、2020年頃にはコロナ禍の影響も受けて水準が下がっていましたが、2021年4〜6月期以降は上昇基調に転じ、2024年7〜9月期には過去最高値を記録しています。

※事務系専門職の推移

■ミドル世代の転職も活発化
ミドル世代(40歳代〜50歳代)の転職市場の変化も、賃金増加に大きく貢献しています。リクルートが9月に発表した調査によると、企業が少子高齢化や事業変革を背景に、これまで20歳代30歳代を中心にキャリア採用をしていた企業が、豊富な知見や経験を持つミドル世代まで年代を広げ、採用していることが明らかとなりました。同社によると、ミドル世代で「前職と比べて賃金が1割以上増えた」転職者の割合は、2014年度の15.6%から2023年度には27.4%に増加しているとのことです。

「転職時の賃金変動状況」の算出式は以下の通りです。
「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数」÷「転職決定者数合計」×100(%)

調査データの詳細は、以下より確認できます。
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20241023_work_02.pdf