東京都は7月1日、2024年春季の賃上げ要求・妥結状況について最終集計を発表しました。すでに妥結した労働組合のうち、前年の妥結額と比較可能な354組合の平均妥結額は1万5670円。同一労組の前年妥結額である1万1001円と比べると、4669円の増加(42.4%増)となりました。
同調査では高年齢者の就労継続に関する労組の取り組みについても調査を実施。65歳までの就労に対する企業側の取り組み状況では、「継続雇用制度の導入」が全体の8割近くを占めました。また、70歳までの就労については会社側に要求を行っている組合が少ないことも明らかになりました。

■65歳までの就労、「継続雇用制度の導入」は224件で全体の78.9%
同調査では、高年齢者の就労継続に対する調査も実施。高年齢者雇用安定法の改正により65歳までの雇用確保が義務付けられ、65歳から70歳までの就業機会の確保が努力義務となっています。そこで高年齢者の就労継続に向けて労働組合がどのように取り組んでいるか調査を行い、284組合から回答を得ました。
65歳までの就労に対する企業側の取り組みとして、高年齢者の雇用を確保するためにどういった措置を講じているか尋ねた結果、「継続雇用制度の導入」と回答した組合は224件で、全体の78.9%を占めた。ほかには「定年の引き上げ」が35件(全体の12.3%)、「定年制の廃止」が3件(同1.1%)となり、「いずれも講じていない」が22件(同7.7%)でした。

※高年齢者の就労継続に対する調査結果

さらに、継続雇用制度の改善を会社に対して要求したことがないとした組合(102件)に、複数回答可でその理由を聞いた結果、「ほかに優先的に取り組むべき課題があるから」が35件と最も多く、次に「現行の継続雇用制度に不満がないから」、「組合員の意見を把握できていないから」、「継続雇用制度の対象となる組合員がいないから」がそれぞれ24件となりました。

■70歳までの就労継続、「継続雇用制度の対象者の範囲拡大」が1割未満
70歳までの就労については、会社に対して何らかの要求を行っている組合が少ないこともわかりました。複数回答の結果によると、「継続雇用制度の対象者の範囲の拡大」が26件で全体の9.2%、さらに「継続雇用制度で働く者の労働条件の改善」が24件で全体の8.5%にとどまりました。そのほかに、「新たな継続雇用制度の整備」が15件(全体の5.3%)、「70歳までの定年の引上げ」が11件(同3.9%)、「定年制の廃止」が4件(1.4%)となっています。
また、上記で「継続雇用制度の導入」と回答した組合のうち、継続雇用制度の改善を会社に対して要求したことがある組合は120件(同53.6%)に上りました。複数回答可で要求事項を尋ねたところ、「賃金に関すること(賞与を含む)」が95件と最も多く、次いで「業務量や職責に関すること」(28件)、「労働時間に関すること(勤務日数を含む)」(17件)となりました。

※70歳までの就労をめぐる組合から企業への要求状況

東京都の調査は、都内に所在する1000の民間労働組合を対象に実施した。調査結果の詳細は以下より確認できます。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/07/01/09.html