前回に引き続き、アルムナイ採用についてのご紹介です。
アルムナイ制度を運用する際は、メリットとデメリットを把握しておくことが大切です。
また、企業の現役社員たちに制度を理解してもらえるよう認知を広め、設備を整えることも重要です。
■アルムナイを活用するメリット
アルムナイやアルムナイのネットワークを活用することで、再雇用につながったり、顧客として関係性継続ができたりなど、さまざまなメリットが存在します。
ここからは、アルムナイの活用にはどのような点でメリットがあるのかご紹介していきます。
・人材確保と育成コスト軽減
まず挙げられるのが、「採用」でのメリット。
他社に転職して新たなスキルや知識を得たアルムナイが再び自社に戻ってくることで、新たな活躍が期待できるでしょう。
また、アルムナイの活躍や、アルムナイネットワークの活性化は、社会に対して「元○○社の社員」というイメージの可視化になります。
そうすることで就職・転職を考えている人のその会社で働く「成長イメージ」となり、入社への後押しになるというメリットになります。
アルムナイの再雇用は、採用・育成コストを抑えることにもつながるでしょう。
・アンバサダーやパートナー、顧客として関係性が継続する
2つ目に挙げられるのは「新たな関係性」を築くことができるメリットです。アルムナイのネットワークがあることで、新商品などの情報拡散をしてくれたり、アンバサダーをお願いしたりすることもできるでしょう。
「パートナー企業」や「顧客」としてなど、雇用主と労働者という関係ではない新たな関係性を築ける可能性があることもメリットです。
・有力な情報網としての役割
3つ目に挙げられるメリットは、有力な情報網になり得る点です。
アルムナイは、多様な企業・業界・業種で活躍しており、その世界の情報を持っています。
そこから有益な情報やアイデアを得ることができるのではないでしょうか。
また、自社社員でも顧客でもない第三者の視点で、自社商品などについてのアドバイスをもらうことなども考えられ、アルムナイネットワークはビジネス自体を推進するうえでも、メリットがあるでしょう。
■アルムナイを活用するデメリット
一方でアルムナイの再雇用など、アルムナイ活用・アルムナイネットワークの活用が欠点になる場合もあります。
どのような点に注意をすべきか、解説していきます。
・在職中の社員への影響
アルムナイの再雇用をしたり、制度化したりする場合「退職してもいつでも復帰できる」と思われてしまう可能性があります。
それに伴って、社員のモチベーション低下を招いてしまうと、デメリットになります。
アルムナイの再雇用・制度化を始める場合、再雇用の条件設定や復職までのフローの透明化、在職中の社員への説明などを十分に行うことで、悪影響を抑えることができるでしょう。
・情報漏洩のリスクがある
アルムナイは、元社員とはいえ、あくまで外部の人間であることを念頭に入れるべきです。
元社員という安心感によるガードのゆるみもあり、社内の機密情報などが漏洩するリスクが高まるでしょう。
アルムナイだからといって油断するのではなく、対外的なリスク管理として、情報をどこまで開示するのか、どのように管理するのか、対策が必要です。
・コストがかかる
最後に紹介するデメリットは、コスト面です。
アルムナイとの関係を維持するためには、コストがかかります。
専用サイトの管理維持費やイベント開催費用などがその例です。ただし、採用におけるメリットや顧客・パートナー企業として関係性を維持するメリットを考えると、一概に高いコストとはいえないでしょう。
状況に応じてどの程度コストをかけるべきなのかが、検討ポイントになります。
■アルムナイ採用の認知と整備
アルムナイ採用を運用するために、現役の社員たちに認知してもらい、社内の環境設備が必要です。
アルムナイ採用の説明はもちろん、具体的にどのような人材を再雇用するかを細かく説明する場を設けたり、社内広報に掲載したりするのも効果的です。
アルムナイに対しては、再雇用した場合の給与や待遇などを具体的に事前に決め、説明しておくとトラブルに発展しません。
そして退職した後、つまりアルムナイになった時に企業からどのように支援するかも周知して、現役社員への認知を広めましょう。
アルムナイ採用を制度として運営するためには初期費用や研修などの手間がかかりますが、即戦力となる人材を効果的に採用できたり、企業の評判をよくできたりとメリットが多いです。
未導入のみなさんは、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。