前回に引き続き「部下ができた人へ~シンプル・マネジメントのすすめ④」です。今回も新しく部下や後輩ができる人、また現在も部下がいるがもう一度、自分のマネジメントを見直してみようかなと思っている人向けのコラムです。
■駅のホームで会話するイメージ
シンプル・マネジメントのイメージは、いわば駅のプラットホームです。
日々の業務の中で、部下との間に3~5分間、会話するためだけのプラットホームを作るようなものです。
わざわざ打合せスペースや会議室へ行く必要はなく、駅のプラットホームにふたりで立ち、電車か車で会話するようなイメージです。
そのプラットホームでは、ただ雑談するのではなく、目標について、スキルアップについて、チームワークについて、またお互いを知る情報交換、フィードバックなど、的を絞った会話をします。
3~5分では話し込むには十分な時間ではありませんね。
しかし一回に多くのことを話しても、すべて理解して、それを行動に移せるわけではありません。
それより、少しでも会話し、現状認識をしたうえで次にどこに向かうかについて確認する。
次の機会もまた同様に会話する。
継続すれば、まとめて1~2時間で話をするよりも、よほど効果的です。1ヶ月、半年と繰り返せば、より効果を得ることでしょう。
■会話の後の内なる会話
朝、今日一日のスケジュールやTO DOについて、短時間の会話をするだけで、その日の業務効率はずいぶん違います。
まあ朝から鬱陶しいと思っている部下がいるかもしれませんが、軽くブリーフィングをすることで、やろうとしている仕事内容が明確になるという方の方が多いと思われます。
またこれを繰り返すと出社前にやる事が整理整頓できるようになったり、仕事自体のスタートがスムーズなったりして業務効率が改善されるという効果が出てきます。
これは部下の成長を促し、生産的な行動ができるようになるのです。
というのは、会話自体はそこで終わりますが、その後も自分の中では「内なる会話」が続くからです。
何のこと?と思われますが、例えば、誰かに言われたことや尋ねられたことが、その場で答えられなかった場合などです。
その場合、後々も頭の中に残って、その答えを探し続ける経験は誰しも経験があると思います。
いわゆる自問自答ですね。鋭い指摘や質問の後ではよく起こります。
会話の内容を咀嚼するプロセスが部下の内側で続くわけです。
それが人の考えや行動に影響を与えます。
上司が適切に会話をすれば、部下の内側では、そこから受けた刺激や問いに始まる自問自答が続き、それが現実を見る視点を変えます。
そしてその視点の変化に伴う考え方や解釈の広がりが、将来的な行動変化をもたらすのです。
新しい思考、行動が生まれるということですね。
今回はここまでです。次回へ続きます。